2008年5月3日土曜日

笙野頼子は世界文学である。(その3)

笙野頼子の宗教小説についての評価を下すことは非常に困難だ。ただし、同じような不思議な小説は、昔から有ったのだ。今、『だいにっほん、ろりりべ』を読んでいて連想するのは、オリーブ・シュライナー『アフリカ農場物語』である。

すでに100年以上前に書かれた英語作品であるが、笙野と雰囲気がよく似ている。南アフリカの植民地の辺境にいて、祈ること、無神論であること、哲学すること、女であること、女装することを考えさせる。一種のポストモダン、(ポスト)コロニアル、フェミニスト、社会主義小説だ。
『アフリカ農場物語』は岩波文庫で二分冊であるが、<上>には詳しい訳者解説があって嬉しい限りだ。ただし<下>のほうが本格的な不思議小説のスタートだと言える。

なお、私自身は、この作家の存在をJ.M.Coetzee, White Writingという南アの白人文学史で知った。

また、富山太佳夫・評は次の通り。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2006/10/20061022ddm015070073000c.html

アフリカ農場物語〈下〉 (岩波文庫)アフリカ農場物語〈下〉 (岩波文庫)
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