2009年10月28日水曜日

コロン作家の自己欺瞞を超えて(池澤夏樹批判)

そろそろブログを再開させよう。というのはNHK教育テレビにおいて、池澤夏樹がきわめてバイアスのかかった、ナイーブな論調を展開していたので、ちょっとムカツイテいるからである。

池澤はあたかもポストコロニアル文学なるものが、植民地住民の解放の文学であるかのように宣言しているのだ。しかも、そこで紹介されている小説が植民地の支配者の白人文学だったりするのだから、呆れて物が言えない。先週は『サルガッソー』について紋切り型の紹介をしたかと思うと、先日は『フライデー』についてこれもまた教条的な説明をしているのだ。彼は、本読みとして、あるいは一人の知識人として、大いに間違いを犯してしまったのだと言わざるを得ないのである。

自分が、いや我々が、本当は植民者(コロン)であるのに、そしてその立場を簡単に放棄できないのに、あたかも反植民地主義の先端を切ることができるかのような自己欺瞞が、池澤夏樹にはある。沖縄社会学者の野村ーー私は批判的に言及したがーーに、「お前は沖縄を植民化したコロン作家だろう!」と言われて、「NO!」と言ってしまった池澤だ。おそらくは相当お目出度いところがあるのだ。

よって、以降では、池澤の議論と、彼のアイヌ小説(北海道コロン小説)について論じようと思う。

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