なお、「三匹の猫」の竹下節子さんも必読かもしれない。まったくスゴイ世界があったものだ。
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『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』
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By | kingyo.K.K - レビューをすべて見る |
「動物感覚」を読んで、テンプル・グランディンの活躍が想像よりもはるかに凄いことが分かった。家畜が人道的に扱われているかチェックするため に世界中を走り回っている。監査方法も理路整然と無駄がなく効果的で惚れ惚れしてしまう。もちろん動物科学や自閉症の研究もしている。動物が世界をどう感 じているか、人間とどう違うのか、人間が動物にどう関わっているのか、実験、観察の結果を述べる研究者でありながら、まるで動物の代弁をしているようでも ある。自閉症患者と動物は似ているところがあるそうだ。やや専門的なところもあるが、たいていは理解できる。へぇ、そうなんだとビックリすることや哺乳類 の一員として妙に納得してしまうところもある。動物に関する蘊蓄が増えた。「哺乳動物と鳥はみな、自分たちを取りまく状況に好奇心と関心をもっていて、い いことが起こるのをほんとうに楽しみにしている。」という一文がとても気に入った。
By | tomomori - レビューをすべて見る |
面白いのは、彼女にとっては、健常者の思考回路こそが「ミステリー」だったということだ。アカデミズムの世界と役所関連の仕事を通して、彼女はむしろ健常者の「現実を捨象する思考回路」に驚愕をする。特に頭の良い、観念思考に長けた人間ほど現実を見ないという。よってラディカルになり易いと。自閉症の思考回路は「具体的な事象を全て捨象せずに取り込む」のだそうだ。過激な動物愛護団体へ苛立ちを表明し、食肉処理場への行政指導で発揮される「頭の良い人間の無能ぶり」を指摘する。きっと仕事上で「観念派」の人間に随分イライラさせられてきたんだろうなぁ(笑)。ともあれ、動物と健常者の間で、両者と もを「不思議」と眺め続けた著者の視点が大変に新鮮だ。
近年の動物学の研究成果も多く紹介されており、人間と狼の関係史や、人間の言語獲得過程への考察、感情と価値判断の関係etc、一般読者にはいずれも目から鱗の話が沢山だ。
例えば、イルカは大量虐殺から快楽殺人から性犯罪までなさる動物だそうだ。どこが「平和の使者」だって。
動物に興味のある方、のみならず、動物を通して見える人間の姿に興味のある方、凝った文章は全く書かない著者さんで、大変に読み易い一冊です。 (強調はshaktiによる)
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1 件のコメント:
今日、2008年8月29日サックス『火星の人類学者』が届く。すばらしい本みたいですね。
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